言葉や音は「きく」ものですが、どのような内容のものをどのように「きく」かによって使うべき漢字が変わるということをご存知でしょうか。
普段あまり意識することのない「きく」という行為、そして意識することで他人とのコミュニケーション力アップにもつながる3つの「きく」行為について、聞く・聴く・訊くの違いにフォーカスして今回は調べてみました。
聞くの意味・使い方
聞くは「声や音などが自然に耳に入ること」です。
集中して耳をすませる必要はなく、ただぼんやりとしていても耳で音を感じることを言います。
英語で表現すると「hear」になります。
ただし、「聞く」という表現は非常に一般的で、意図的に音をキャッチしようとする場合であっても使われることがあります(例の2つ目)。
例:幼稚園から、子どもたちの歌声が聞こえてきた。
例:好きな子の名前が聞こえたので、思わず聞き耳を立ててしまった。
聴くの意味・使い方
聴くは「意識して音に耳を傾けること」です。
時には、相手の言葉からその気持ちをくみ取ろうとすることまで含めて「聴く」という表現が使われることがあります。
英語では「listen」が最も近いでしょう。
「聴」には「心」という漢字が含まれていることからも、表面的な言葉だけでなく深く理解するために耳を傾ける意味を持つことがわかりますね。
例:あの先生は板書をしないので、講義を聴かないとレポートが書けない。
例:国民の声をしっかり聴き、政策に反映します。
訊くの意味・使い方
訊くは「自分の知りたいこと、興味のあることを問うこと」です。
英語だと「ask」になります。
「聞く」や「聴く」はどちらかというと受け身ですが、「訊く」は能動的に相手の回答を求める行為になります。
そして、必然的に言葉のキャッチボールが必要になります。
また、能動的な意味であることから「訊こえる」という表現は使いません。
なお、「訊く」は常用漢字ではないので、新聞などでは「聞く」が使われることが多いです。
例:道に迷ってしまったので、交番で道を訊いた。
例:先方の都合を訊いたが、回答がないので訪問ができない。
聞く・聴く・訊くの違い
「聞く」は、自然に耳に入ってくる音や声に耳を傾けることです。
一方で「聴く」は、注意を傾けて音や言葉をキャッチすることです。
どちらも相手が発する音や言葉を受け取る時に使われます。音や言葉を受け取る側は、言葉を発する必要はありません。
「訊く」は、知りたいことや興味のあることを積極的に相手に問いかけることです。
そして、音楽を「きく」場合、なんとなく意識せずに音をとらえている場合は「聞く」になりますが、積極的に耳を傾けている場合には「聴く」になります。
まとめ
- 聞くは「hear」。自然に耳に入る音や言葉をとらえること。
- 聴くは「listen」。注意深く音や言葉に耳を傾けること。
- 訊くは「ask」。知りたいことや興味のあることをたずねること。
人とコミュニケーションをとる時は、「聞く」だけではなく「聴く」ようにしましょう。
時には相手の気持ちをうまく「訊き出す」ことも必要ですが、「訊く」ことは一歩間違えると「尋問」になってしまうので気をつけましょう。