「俄然」と「断然」正しく使えていますか?
濁音が入っていいて音の響きが似ていますが、この二つは全く違う意味です。
今回は俄然と断然の正しい使い方を見ていきましょう!
俄然の意味・使い方
「俄然やる気がわいてきた」という文はどういう意味でしょうか。
「とてもやる気が湧いてきた」と考えた人も多いかもしれませんが、それは間違いなんです。
俄然の「俄」という漢字には「にわか」という読み方もあります。
にわか雨の「にわか」ですね。
俄然はにわかと同じ意味で、「急に」「突如」という意味です。
ですから「俄然やる気がわいてきた」という文は「急にやる気がわいてきた」という意味ですね。
俄然という言葉は音の響きがつよいし、「とても」の意味として考えても意味が通ってしまう文が多いので、強調の意味と間違えている人が多いようです。
俄然は「急に」「突如」「にわかに」「不意に」「いきなり」と言った言葉と置き換えることができます。
それをふまえて正しい使い方を見てみましょう。
例:ケーキ屋さんは12月25日が近づくと俄然忙しくなる。
例:女の子の声援で、彼は俄然元気になった。
断然の意味・使い方
断然の「断」という言葉は、「断じて許さない」とか「断固拒否する」とか自分の意志をはっきり決めるときに使う言葉です。
ですから断然もきっぱり心に決めるという意味です。
また打ち消しの言葉と一緒に使って「決して」「絶対に」と同じ使い方もできます。
例:断然信じない。
もう1つ、他と比べて並外れている・かなりの差があるという使い方もあります。
この使い方の方がなじみがありますね。
例:資格を持っていた方が断然有利だ。
ダントツという言葉がありますが、これは「断然トップ」の略語です。
俄然・断然の違いは?
この二つの言葉は、語感は似ていますが、全然違う意味の言葉ですね。
俄然は「急に」「突如」という意味。
断然は「かなりの差がある」という意味。
強調の意味で使えるのは「断然」だけです。
では次の2つの文はどのようなシチュエーションでしょうか。
彼の満塁ホームランで試合は断然有利になった。
「俄然有利になった」は「急に有利になった」という意味ですね。
ですから今まで1対1の硬直状態だったのに、1対5になった感じですね。
「断然有利になった」は「点差が大きく開いてとても有利になった」という意味ですから、5対0で今までも勝っていたけれど、9対0で圧倒的に点差が開いたようなシチュエーションです。
まとめ
- 俄然は急な様子
- 断然は2つ意味があり、1つはきっぱり心に決めること
- 断然のもう一つの意味は、他と比べてずば抜けていること
俄然は濁音が二つあって強い音の響きなので、強調の意味と間違えている人が多い言葉です。
俄然は「急に」という意味、ここさえ押さえておけばこの使い分けはバッチリです!