「かなう」という言葉に対する漢字が3つあるのをご存知ですか?
漢字の意味さえ覚えておけば使い方は間違えないはずです。
今日は「かなう」という漢字について調べました。
敵うの意味・使い方
まず1つめの漢字は「敵う」という字です。
敵味方の「敵」という字です。
匹敵するという熟語にも使われている通り、「同じくらいの力がある」という場合に使います。
例:数学であいつに敵うやつはだれもいない。
例:やっぱり君には敵わないな。
「敵う」と書く場合は、後ろに「~ない」や「~ぬ」のような打消しの言葉と一緒に使うことがほとんどです。
他に「我慢できない、たまらない」という意味もあります。
例:こう毎日暑くちゃ敵わない。
例:あの人は理屈っぽくって敵わん。
また少し文語的な表現ですが、「~することができない」という場合にも使います。
例:この低収入じゃ結婚することも敵わない。
例:起き上がるのも敵わぬほど、彼女は衰弱していた。
適うの意味・使い方
次の漢字は適当、最適の「敵」という漢字ですね。
ですから、「ぴったりと合う、適合する」という意味です。
例:新しい家を探しているが、条件に適う家がなかなか見つからない。
例:彼女の提案はとても理に適ったものだった。
例:彼女は両親のお眼鏡に適ったようだ。
「理に適う」「お眼鏡に敵う」のようにフレーズ化している言葉が多いですね。
最近「お目に適う」という言い方を聞くことがありますが、「お眼鏡に適う」が本来の言い方です。
叶うの意味・使い方
「叶う」という漢字を使った場合、「願った通りになる」という意味です。
例:願いが叶った。
例:叶わぬ恋に身をやつす。
敵う・適う・叶うの違いは?
3つの意味を説明しましたが、わかりましたか?
では例文を見ながら確認していきましょう。
デパートなどで店員がお客様にかしこまって言うフレーズです。
すみませんがお客様のご要望にかなった商品は当店にはございません。
上の文はどの漢字を使うでしょうか?
「要望がかなう」ならば「叶う」という漢字ですね。
しかしこの文は要望「に」かなう、です。
この場合はぴったり合うという意味の「適う」という漢字を使います。
助詞ひとつで変わってくるんですね。
次は会見などで使われるかしこまった言い方です。
今回エベレスト登頂はかなわなかった。
この場合はどうでしょうか?
「叶う」という漢字を使いそうですが、この場合は「敵う」が適当です。
「叶う」という漢字は「夢」や「願い」と一緒に使う言葉です。
「目標が叶う」とはいいません。
この場合は、「エベレストに登り始めたけど、頂上まではいけなかった」という意味なので、「夢」ととらえるより「目標」ととらえたほうがいいでしょう。
もし「エベレスト登頂という夢はついにかなわなかった」と言った場合は「叶う」という漢字を使います。
しかし「敵」と「適」常用漢字ですが、「かなう」という読み方は常用外、「叶」は常用漢字ではないので、新聞やテレビではいずれの場合もひらがなで書かれます。
迷った場合はひらがなで書くのが無難かもしれません。
まとめ
- 「敵う」は後ろに打消しの言葉と一緒に使う場合がほとんど
- 匹敵するものがいない、がまんができない、~することができないという意味は「敵わない」
- 適合する、ぴったり合うという意味は「適う」
- 願った通りになる、という意味は「叶う」
パソコンやスマホで文章を書くことが多くなった現在、正しい漢字を選ぶ能力はとても大切だと思います。
特に「敵う」と「適う」は字も似ているので、ネット上では間違いが多くみられます。
SNSに気軽に投稿するときもちょっとだけ気を付けてみてください。