「絞る」と「搾る」。
どちらも読みは「しぼる」ですよね。
でも、意味はどうなのでしょうか?
いずれもねじりあげる行為を指すように思うのですが、違いはあるのでしょうか?
今回は、「絞る」と「搾る」の違い・意味、使い分けについて調べてみました。
絞るの意味・使い方
絞るには、「ねじって中の水分などを出す。範囲を狭めていく。」という意味があります。
「絞」という字は、糸を交差させて両側から引っ張る様子を示しています。
そして、簡単には出ないものを出す、という意味で、知恵や勇気を出す時にも使われます。
また「絞る」は「しぼる」という動作に重点が置かれ、しぼり出されたものにはあまり目は向けられません。
例:寒い時は、冷たい雑巾を絞るのがつらい。
例:勇気を振り絞って告白したが、あっさり振られた。
例:音漏れしないように、イヤホンの音を絞った。
搾るの意味・使い方
搾るの意味は、「押しつぶして中の水分などを無理やり出す。強制的に出させる。」だそうです。
「搾」に手偏が使われているのは、手で圧力をかけて押し出すという意味があるからです。
「搾る」は「しぼる」という行為よりもしぼり出されて得られたものに重点が置かれます。
これらのことから、レモンなど果実をしぼる場合は「搾る」が使われることがわかります。
例:レモンを電子レンジで温めると、搾りやすくなる。
例:素人に乳搾りは難しい。
例:国民から搾り取った税金は大切に使って欲しい。
絞ると搾るの違いは?
絞ると搾るでは、重点をどこに置くかが大きく異なります。
動作に重点を置く場合には「絞る」、しぼり出されたものに重点を置く場合には「搾る」となります。
たとえば、「しぼり染め」は糸で布を縛って模様を出すものですが、「しぼる」という行為に重点が置かれるので「絞り染め」になります。
一方、「搾乳」「搾取」という言葉があるように、「搾」を使う場合はしぼる行為自体よりもしぼり出されたものが重視されます。
まとめ
- 絞るは、物理的にねじって中身を出すこと。範囲を狭めていくこと。前者の場合、しぼる行為自体を指す。
- 搾るは、圧力をかけて中身を出すこと。しぼる行為よりもしぼり出されたものが重要視される。
製造業や税金などの話題では「搾る」が使われることが多いですが、それ以外はほとんど「絞る」が使われます。
また最近は果実をしぼる時に「絞る」が使われることも多いようです。
言葉は変化するものなので、次の世代では「搾る」はほとんど使われなくなっているかもしれませんね。