「つつしむ」と文字入力して漢字変換をすると、「慎む」と「謹む」が出てきます。
この2つ、どのように使わけたら良いのでしょう?
普段あまり使うことのない「つつしむ」という言葉ですが、実は使い方を間違えると上から目線の失礼な表現になってしまいます。
そこで今回は、恥をかかないために2つの「つつしむ」の違いと使い分けについてまとめてみました。
慎むの意味・使い方
慎むは「失敗をしないように気をつけること。行動を控えること。」です。
「慎(つつ)ましく行動する」あるいは「慎重」と言い換えると、理解しやすいかもしれません。
「慎む」は自らの行動に対して使う場合がほとんどですが、他人に対して使うこともあります。
ただし、使える相手は自分を含めた他人や部下・学生・生徒などに限られます。
というのは、あとから詳しく述べますが「慎む」には敬意が含まれないからです。
目上の人に言動を控えてもらいたい場合には、「〇〇はご遠慮ください」「〇〇はおやめください」といったほかの表現にする必要があります。
例:授業中は私語を慎みなさい。
例:医師に酒・タバコを慎むように言われている。
謹むの意味・使い方
謹むは「うやうやしくかしこまること。」
相手に対して敬意を表す枕詞のようなものなのですね。
年賀状によく書く「謹賀新年」を思い浮かべると、わかりやすいです。
「謹む」は、年賀状のほか、冠婚葬祭のあらゆる場面で使われます。
そして、敬意を表す言葉であることから、自分自身に対して使うことはありません。
例:謹んでお祝い(お悔やみ)申し上げます。
例:謹んで承ります。
慎む・謹むの違いは?
「慎む」は、自分や自分を含む他人などの行動を控える時に使います。
敬意を含まず、むしろ自戒の意味があるので、目上の人に使ってしまうと上から目線で失礼になってしまいます。
目上の人の行動を抑制したい場合には、「慎む」以外の表現を使う必要があります。
一方で、「謹む」は相手に対して敬意を表す時に使います。
目上の人に使うことが多く、自分自身に対して使うことはありません。
2つの「つつしむ」の大きな違いは、言葉のターゲットです。
- 自分や自分を含む他人がターゲットの場合→慎む
- 目上の人がターゲットの場合→謹む
と考えれば、まず大丈夫です。
まとめ
- 慎むは、言動を控え慎重にすること。目上の人には使えない。
- 謹むは、敬意を表す言葉。自分には使えない。
迷ったら、言葉のターゲットを考えるようにしましょう。