愛想と愛嬌。
似ている言葉ですが、違いはどこにあるのでしょうか?
例文とともにご紹介いたします。
愛想の意味・使い方
「愛想」というのは客に心からサービスしようとする、応対の仕方や、好感の持てる表情や言葉使いのことを言います。
仕草や顔つきですから、人の性質・性格ではなく、表面上の対応について使います。
例:あの人は挨拶もしない、愛想がない奴だ。
例:愛想笑いを浮かべる。
他にも相手を喜ばせるための言動や、相手に対する好意、またおもてなしや飲食店でのお勘定をさすときにも使います。
例:お愛想を言う。
例:彼には愛想もこそも尽きた。
例:何のお愛想もできませんで……。
愛嬌の意味・使い方
愛嬌はにこやかでかわいらしいことや、ひょうきんで憎めない様子をさします。
こちらは愛想と違い、その人が持っている性質についていう言葉です。
例:愛嬌のある笑顔。
例:愛嬌たっぷりにはなす。
また、ちょっとした座興という意味でも使われます。
例:ご愛嬌に一曲歌う。
例:今のはほんの御愛嬌です。
上の例文場合は何か失敗したときに、照れ隠しに使うフレーズですが、この余興という意味からきています。
もとは愛敬(あいぎょう)と言ったそうですが、濁音が落ち、近代になって「嬌」という字があてられたそうです。
愛想・愛嬌の違いは?
愛想と愛嬌似ている言葉ですが、違いはいったい何でしょうか?
愛想は人にいい感じを与えるための仕草や表情のことですが、愛嬌はその人がもともと持っているかわいらしさやひょうきんさをさす言葉です。
愛想は表面の動作に使い、愛嬌は内面の性格や性質のことということですね。
また愛想と愛嬌は使われ方や慣用句が違います。
例を見ていきましょう。
〇愛想がいい | ×愛嬌がいい |
×愛想がある | 〇愛嬌がある |
×愛想たっぷり | 〇愛嬌たっぷり |
〇愛想笑い | ×愛嬌笑い |
上にも書いた通り「愛想」とは態度や表情のことなので、「いい・悪い」と一緒に使います。
愛想は「ある・ない」と一緒に使われます。
〇何のお愛想もできませんで | ×何のお愛嬌もできませんで |
×下手な歌でもご愛想 | 〇下手な歌でもご愛敬 |
〇愛想が尽きる | ×愛嬌が尽きる |
〇2番テーブルお愛想 | ×二番テーブルお愛嬌 |
△愛想を振りまく | 〇愛嬌を振りまく |
もとは「愛嬌を振りまく」だったようですが、現在は国語辞典にも「愛想を振りまく」という使い方が載っています。
現在どちらも使われているようです。
まとめ
- 愛想は人にいい感じを与えるための仕草や表情のこと
- 愛嬌はその人がもともと持っているかわいらしさやひょうきんさをさす言葉
いかがでしょうか。
愛想と愛嬌、表面上か内面の性質かという違いがあったんですね。
愛想笑い、愛想を言うという言葉を思い浮かべると、この言葉の性質が分かりやすいですね。