「はかる」という言葉ほど、同音の漢字がたくさんあるものは、ほかにありません。
「図る」、「測る」、「計る」、「量る」、という漢字がよく使われます。
ほかにも「諮る」、「謀る」などがあります。
ここでは、日ごろ使うことの多い「図る」、「測る」、「計る」、「量る」の、それぞれの意味と使い方をみてみましょう。
「図る」の意味と使い方
「図る」の意味は、「何かを行うにあたって、いろいろな方法を考える」こと。
例:値下げを図りましたが、やはり無理でした。
例:残業時間の改善を、みなで図りたいと思います。
例:知り合いだからといって便宜を図るのは、いかがなものか。
例:図らずも、友人に会ってしまった。
「測る」の意味と使い方
「測る」の意味は2種類あり、1つは「ものの長さや深さ、状態を、一定の基準で数値に表す」こと。
もう1つは「人の心に思いをめぐらす」ことです。
例:新学期には、身長を測ります。
例:自宅から駅までの距離をメジャーで測ったら、700mでした。
例:病院で、熱を測ったら38℃もあった。
例:地震のあと、柱の傾き具合を測ってもらった。
例:あの人の悲しみは、測り知れないものがある。
「計る」の意味と使い方
「計る」の意味は3種類。
①ものの数やかかった時間を、数字で表す。
②見当をつける。見積もる。
③広い視野で先のことを考える。
例:自宅から駅までの所要時間を腕時計で計ったら、25分でした。
例:老後の生活費を計って、倹約しましょう。
例:タイミングを見計らって、本当のことを言います。
「量る」の意味と使い方
「量る」の意味は2種類あり、1つは「物の重さや体積を、数字で表す」こと。
もう1つは「人の才能や技術の大きさを表す」ことです。
例:体重を量るのは気が重い。
例:お米を量り売りしてくれる店がある。
例:弟の弁当箱と、どっちが大きいか量ってみる。
例:あの人の才能は、量りしれない。
図る・測る・計る・図るの違いは?
成り立ちでみると、
「図る」は、米蔵を囲む形。境界線をはっきり示す意味。
「測る」は、物差しで水の深さを測る意味。
「計る」は、数字を口に出す意味。
「量る」は、物の重さを量る意味。
熟語・他の言葉でみると、
- 「図る」 意図、図星、図太い、図々しい
- 「測る」 測定、観測、推測、憶測
- 「計る」 計器、計上、会計、生計、計画、国家百年の計
- 「量る」 重量、容量、積載量、器量、技量、度量
「測る」「計る」「量る」は、どれも数字で表すことができますね。
長さや深さは「測る」、時間やお金は「計る」、そして重さや容積は「量る」と、使い分けられます。
「計る」でまぎらわしいのは、「体重計」、「体温計」などに「計」が使われているから、体重も体温も「計る」じゃないの、と思いがちです。
でも、この「計」は、「計器」という意味です。
「体重を量って数字を出す機械」、「体温を測って示す器具」ということです。
人の心や技量に、「測る」と「量る」が使われるのも、面白いところです。
「心が重い」のは「量る」ですし、「情け深い」のは「測る」ですね。
反対語は「気が軽い」や「浅い了見」と、やっばり「量」と「測」があてはまります。
こうした言葉の使われ方からも、あてはまる漢字がわかると思います。