「傷」と「怪我」。
この2つの違いを考えたことってありますか?
ほとんど同じ意味で使われる言葉ですが、語源や使われる場面を知ると違いが見えてきます。
今回は、知れば「なるほど!」と思う「傷」と「怪我」の違いについて調べてみました。
傷とは?
傷とは「切れる・裂ける・打つなどして皮膚や肉にダメージを受けること」です。
「傷」の語源は詳しくは不明ですが、「切る」「裂く」「刻む」などに由来すると考えられています。
なお、「傷」は体の一部にとどまらず、精神的なダメージも「傷」と表現されることがあります。
(例:「心の傷」など)
さらに、不名誉や欠点・恥などの意味で「傷」が使われることもあります。
(例:「経歴に傷がついた」「伝統に傷をつけた」など)
そして多くの場合「傷」の原因は問題とならず、ダメージ自体を「傷」と呼びます。
また、「傷」は生物だけではなく無生物(家具など)にも生じえます。
怪我とは?
怪我は「不注意などにより体に傷を負うこと」です。
傷そのものを指すこともあります。
ポイントは「不注意など」と原因にまで言及している点です。
ダメージのみならず原因過程まで含むのが「怪我」なのですね。
「怪我」というのは当て字で、もともとは「けがれる」「けがる」という言葉が語源だといわれています。
そして「怪我」は、「傷」ではなく「過ち」あるいは「不測の事態」といった意味合いで使われることもあります。
このことがよく分かるのが「怪我の功名」という言葉です。
「怪我の功名」の「怪我」は「傷」を必ずしも意味しないことはご存知のとおりです。
ちなみに、「怪我」は生物にしか使いません。
傷と怪我の違い
「傷」はダメージそのものを指します。
体に負ったダメージだけではなく、心や名誉など形のないものにダメージが生じた場合にも「傷」を使うことがあります。
「怪我」は、不注意や不測の事態などによって体にダメージを負うことです。
傷だけではなく、ダメージが生じる過程にもしっかり着目して使う言葉です。
そして、「傷」は対象物が生物であっても無生物であっても使うことができますが、「怪我」は生き物にしか使えません。
まとめ
- 傷はダメージそのもの。生物に対しても無生物に対しても使える。
- 怪我は不注意や不測の事態でダメージを負うこと。生物に対してのみ使える。
とはいえ、「傷」も「怪我」も同じような意味で使われることが多いのが実状です。
どちらを使うべきか迷った場合には、生物にも無生物にも使える「傷」を使うのが無難でしょう。