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「なし崩しにする」の意味を例文も合わせて解説 誤用が多いので注意

なし崩しにする

「なし崩し」という言葉はよく新聞やニュースなどでも耳にしますよね。

「法改正をせずになし崩しにする」というのはどういう意味でしょうか。

今日は「なし崩し」という言葉について調べました。

なし崩しの意味

なし崩しというのはもともと、借金を少しずつ返済していくことに使われた言葉です。

なし崩しの「なし」を漢字で書くと「済し」と書きます。

返済の「済」という字ですね。

ですから、借金の山を崩すように少しずつ返済することという意味です。

そこから派生して、物事を少しずつ片づけるという意味になりました。

そしてもう一つ意味があるのですが、これが少し難しいです。

正規の手続きを経ずに少しずつ既成事実としていくことという意味です。

例:法改正をせずになし崩しにする。

これはあいまいという意味ではなく、少しずつ実態を変えていくという意味で使われています。

なし崩しの正しい使い方

なし崩しには大きく分けて3つの意味があります。

それぞれの使い方を確認しましょう。

借金を少しずつ返済する

  • 毎月の給料から、奨学金をなし崩しに返済する。

物事を少しずつ片づける

  • 大家族の洗濯物をなし崩しに畳んでいく。
  • 山のような書類の整理をなし崩しに進めていく。

正規の手続きを経ずに少しずつ既成事実としていくこと

  • 部長の仕事を手伝っていたら、なし崩し的に次期部長になってしまった。
  • 憲法改正をせずに、解釈をなし崩しにする。

なし崩しの間違った使い方

現在、なし崩しという言葉は、あいまいにする・うやむやにするという意味で使われることが多いようです。

3つ目の意味から連想してこのような意味にとらえられてしまったのでしょう。

  • デートの約束をなし崩しにされてしまった。
  • なし崩し的な返事をして、別れた。

また「部長の仕事を手伝っていたら、なし崩し的に次期部長になってしまった。」という3つ目の使い方を「成り行き」と勘違いしている人も多くみられます。

  • 合コンの予定だったが、女子にドタキャンされ、なし崩しに男だけの飲み会になった。
  • 前回は友達に連れられてなし崩し的に参加してしまったので、自分の意志で参加するのは初めてだ。

なし崩しのコアの意味は「徐々に」です。

このニュアンスが含まれているかどうかがポイントです。

「なし崩し的に次期部長になってしまった。」というのは単なる成り行きではなく、徐々に部長の仕事を覚えて言ったとか、周りから徐々に次期部長だと認められていった、と言ったニュアンスがあります。

なし崩しを言い換えると?

なし崩しは「少しずつ」と言い換えることができます。

似たような言葉には

  • じわじわと
  • ちょっとずつ
  • 徐々に

などがありますね。

また少しずつだけど確実にという意味も含んでいます。

この確実という方にフォーカスを当てるならば

  • 着々に
  • 着実に
  • 一歩一歩、一歩ずつ
  • 堅実に

と言い換えることができる場合もあるでしょう。

まとめ

要点まとめ
  • なし崩しのコアの意味は「徐々に」
  • あいまい、うやむや、成り行き、と言った使い方は辞書には載っていない

いかがでしたか?

崩すという言葉が入っているので、ネガティブな言葉だと思いきや、意外とポジティブな使い方だったんですね。

この記事を書いた人:らはつま

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