「おさまる」、や「おさめる」は、よく耳にする言葉です。
でも、「収まる」、「納まる」、どっちなのだろうと考えだすと、悩ましいところ。
さらに「治まる」もありますし。
どの場でどの漢字を使うのか、調べてみました。
収まるの意味・使い方
まずは、手に入れる、という意味が一般的には知られています。
さらに取りまとめる、という意味も使われます。
ほかに、目立っていたものが引っ込む、決着がつく、という意味もあります。
例:美しい花嫁姿を、カメラに収めました。
例:たくさんの本が、やっと本棚に収まった。
例:この人数では、会場には収まりません。
納まるの意味・使い方
1番の意味は、物や金銭が予定通り動き、適切なところに落ち着く、ということです。
また、他者からの意見や提案を承諾する、という意味でも使われます。
さらに日本独自の言い方として、行為や事業を終わりにする、区切りをつける、という意味でも使われます。
例:神社に、新しい神輿が納まりました。
例:あの夫婦、やっと元のさやに納まった。
例:そんな結論では、国民は納まらないでしょう。
例:今日で、甘いものは食べ納めにしょう。
治まるの意味・使い方
まずは、国家や社会が安定していること、という政治的な意味があります。
これは、よく知られていることですね。
さらに、自然や人的災害が静まること、台風や地震、あるいは火事などが終息することです。
また、人の気持ちの興奮や病気が回復して、平常通りになることも意味します。
例:台風が過ぎて、風が治まった。
例:怒りが治まらない様子です。
例:腹痛が、やっと治まった。
収まる・納まる・治まるの違いは?
まず「収」の漢字の成り立ちをみてみましょう。
2本のひもをより合わせて、ものを絡め取るという、状態です。
自分のものにする、ゲット、ということでしょう。
熟語:
収入、収集、収容、収束、収拾
「納」の成り立ちは、建物に糸が入れられる、という状況を表した漢字です。
その昔、糸は税としての上納品でした。
規則にのっとって、ものや金品が移動し、あるべき場所におく、ということですね。
熟語:
納税、納入、納品、納期、奉納、返納、納得、納会、見納め
では「治」の成り立ちはどうでしょうか。
よく知られているように、洪水を防ぐ、という状況ですね。
大昔の政治は「川の氾濫を防ぐこと」が、一番の事業でした。
そこから権力者の働きによって「平穏な状況にあること」あるいは、「平和を取り戻すこと」という意味になっていきます。
熟語:
政治、統治、治水、治安、平治、治療、治癒
「治」の反対語は「乱」となりますね。
まとめ
「収まる」と「納まる」は、かなり似通っています。
「収納」という熟語があるほどですから、どっちを使ってもいい、という人もいます。
ただ、「収」は個人的な動きです。
さらに出し入れもかなり自由ですよね。
「納」は、相手との契約や上下関係に基づいて、物や金品が動くさまを示しているようです。
だからいったん納めると、返してもらうのも手順がいろいろ面倒くさくなりますね。
このポイントをおさえると、迷わないかもしれません。
「治まる」は、物事を平常に戻すこと。
政治から個人の身体まで、「正常を維持する状態」です。
「治にいて乱を忘れず」という慣用句は、その意味を良く表しています。
ということで、「予算内におさまる」は、「収まる」です。
支出がオーバーすることなく予定通りに片付く、ということになりますから。
この漢字は、生活に密着しているのに意外と意味が広い。
同音異義語の試験では、難問ですし出題頻度も高いですね。