よく引退会見などで「潮時(しおどき)」という言葉が使われますが、みなさんはこの言葉を正しく使えますか?
平成24年度「国語に関する世論調査」によると、36.1%の人が意味を間違えていたそうです。
正しい意味と使い方をしっかり覚えましょう。
潮時の意味
潮時とはいったいどういう意味でしょう。
もとは「満潮・干潮の時刻の時刻」という意味です。
漁師さんたちの間で「ちょうど潮時だから漁に出よう」「もう潮時だから沖へあがろう」と言っていたところから、物事を始めたり終えたりするのにちょうどいい時期という意味になったそうです。
ですから、潮時は終えるときだけではなく、始めるときにも使える言葉です。
潮時の間違った使い方
平成24年度の調査で「そろそろ潮時だ」の意味を尋ねると、
①ちょうどいい時期 60.0%←正解
②ものごとの終わり 36.1%
③①と②の両方 2.5%
④①と②とは全く別の意味 0.4%
⑤わからない 1.0%
という結果が出ました。
スポーツ選手などが引退会見で「そろそろ潮時だと思った」というようなコメントをよく耳にしますよね。
物事の終わりと間違えてしまうのもうなずけます。
しかしこの分の意味は「そろそろ終わりだと思った」ではなく、「そろそろ終えるのにちょうどいい時期だと思った」というのが正解です。
潮時というのは物事の初めにも終わりにも使える言葉です。
「結婚する潮時を見極める」といった使い方もできるので失恋・別れるという意味で使うときは注意が必要です。
この恋愛はもう潮時だ。
「この恋愛はもうちょうどいい時期だ」
この文だけでは結婚するのか別れるのか分かりませんね。
ただしずっと別れたいと思っていたけど、今がちょうど別れるのにいい時期だと思ったなら使えます。
浮気の証拠もそろえたし、今が別れを切り出す潮時だろう。
もう少し例文を見てみましょう。
例:△けんかばっかりするのはもう、潮時ってことでしょうか。
例:△あのスター選手も最近成績が上がらないし、潮時なのかなあ。
例:×その子モテるって言っても潮時があるよ。
1つ目と2つ目は「別れる・辞めるのにちょうどいい時期」ととらえれば間違いではありませんが、「物事の終わり」という意味で書いたような感じがしますね。
最後の文は「ちょうどいい時期」と言い換えられませんから誤用でしょう。
潮時の正しい使い方
では潮時の正しい使い方を見てみましょう。
ギターをならうのにいい潮時だ。
すべて物事には潮時というものがある。
四年前に祖父が倒れたのを潮時に、在宅の仕事を始めた。
潮時をみて、意見を述べた。
動詞と一緒に使う場合「見る」「見計らう」「待つ」といった言葉と使うことが多いようです。
潮時というのは「始まる・終わる」ではなく「始める・終える」時に使う言葉です。
自分で物事を積極的に進めるポジティブな言葉だったんですね。
まとめ
- 潮時はちょうどいい時期という意味。
- 始めるときも終えるときも使える。
- 物事の終わりという意味ではない。
平成24年度「国語に関する世論調査」では16歳~19歳と60歳以上では正答率が60%以上だったのに対し、20代~50代の正答率が50%台でした。
現役世代の正答率が低いのはちょっと恥ずかしいですね。
これを潮時に正しい意味で覚えましょう。