携帯やパソコンで変換するとき、「少しずつ」と「少しづつ」で迷ったりしませんか?
実は私はよく迷います。
どちらを使うのが日本語として正しいのか、「ずつ」と「づつ」の意味や違いについて今回調べてみました。
ずつ・づつの意味
ずつ・づつは漢字で書くと、「宛」という字が当てられます。
意味は以下の通りです。
- 同じ数だけ割り当てる(くぎる)こと
- 同じ分量を繰り返すこと
「2個ずつ(づつ)」「3人ずつ(づつ)」などは①の意味で使われますね。
同じものを均等に振り分けるという意味です。
そして「少しずつ(づつ)」などは②の意味で使われます。
ずつ・づつのどちらも書き方が違うだけで、音や意味は同じです。
対象の言葉によって使い分けるの?と思いがちですが、特にそういった規則はないそう。
ずつ・づつはどっちを使うのが正しい?
ではこの「ずつ」と「づつ」、どちらを使うのが正解なのでしょうか。
答えから述べると、
「ずつ」と「づつ」どちらを使っても正解。
ただし、文部科学省は「ずつ」を使うことを推奨している。
です。
文部科学省(当時の文化庁)が昭和六十一年に発表した「現代仮名遣い」に関する内閣告示及び内閣訓令について、という通達を読んでみると、基本的には「ず」を用いるとあります。
ただしそれには例外がいくつかあり、以下の単語は「づ」を用いて書くとされています。
・同音の連呼によって生じた「づ」
例:つづみ(鼓)、つづら、つづく(続)
・二音の連合によって生じた「づ」
例:みかづき(三日月)、たけづつ(竹筒)、たづな(手綱)
そしてその下に、以下のような表記があります。
・なお次のような語については、現代の意識では二語に分解しにくいもの等として、「ず」を用いて書くことを本則とし、「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする
例:きずな(絆)、ほおずき、うなずく、ひとりずつ
この項でひとりずつ、が例として出てくる通り、「ずつ」と「づつ」はどちらも使うことの出来る表現であるということが分かります。
ただし「ず」を用いて書くことを本則とする、とあるので、学校の教科書やNHKのテロップ放送でも「ずつ」が採用されています。
なぜ2通りの表記があるの?
上で述べた通り「宛」という漢字が当てられますが、辞書でひくと「宛」=「ずつ」と出てきます。
国語辞典でも「ずつ」で引くと上の内容が出てきますが、「づつ」では何もヒットしません。
ではなぜ「づつ」という表記があるのでしょうか。
実は「ずつ」が先ほど述べた“現代仮名遣い”であるのに対し、「づつ」は現代にもわずかに残っている“歴史的仮名遣い”の一つなのです。
終戦直後までは“歴史的仮名遣い”の「づつ」が使われていましたが、昭和二十一年に定められた“現代仮名遣い”で「ずつ」に統一され、後に「ずつ」と「づつ」両方の表記が認められるようになりました。
まとめ
- 「少しずつ」と「少しづつ」はどちらも間違いではない
- ただし文部科学省は「ずつ」を原則としているので、オフィシャルな場では「少しずつ」と表記した方が無難
時と共に変わっていく日本語。
今は“どちらの表記も認める”ですが、時代が変わればこの決まりもまた変わるかもしれませんね。
日本語って難しい、そし、面白い!と今回思いました。