新しい元号として、初めて日本の書物から取り上げられた「令和」。
発表当初は意味が正しく伝わらず、国外のみならず国内からも激しい突っ込みがあったようですが、今回は知っているようで知らない「令」という漢字の由来や意味、そして新元号「令和」の由来や意味をご紹介します。
「令」という漢字の由来・意味は?
「令」の上半分(3画目まで)は「頭上にいただく冠」をあらわし、下半分(4画目以降)は「ひざまずく人」をあらわします。
そこから「人がひざまずいて神意を聞く」という意味の「令」が生まれたとされています。
実際、「令」の意味を調べると、
- 言いつけ(命令など)
- きまりごと(法令など)
- 長官やおさなど(県令など)
- 年(年令など)
といった意味が出てきます。
一方で「他人の親族に対する敬称(令兄など)」のほか、「良い・立派な・優れた(令名など)」といった意味もあります。
こちらの意味で使うことは日常会話ではほとんどないので、外国人記者が「令」を「order」と訳してしまったのも頷けますね。
しかし、「令和」の出典は万葉集です。
「令」あるいは「和」という文字が本来有する意味だけではなく、文脈から読み解かなければ「令和」を正しく理解することは難しいでしょう。
新元号「令和」の由来・意味は?
「令和」の由来は、ご存知の通り万葉集です。
万葉集の「梅花歌三十二首」の題詞にある「初春令月 氣淑風和」という部分からの出典です。
「題詞」というのは、万葉集で歌の前につけられているいわば解説部分です。
今回の場合「どのような事情で梅の歌を読むことになったのか」ということが書かれている部分になります。
記されている題詞自体は比較的長く、漢字130文字程度で表されているのですが、「初春令月 氣淑風和」という文言は最初の方に出てきます。
「初春令月 氣淑風和」にはさまざまな現代語訳がありますが、冒頭に「于時」という言葉があることから(つまり、原文は「于時 初春令月 氣淑風和」)、「初春の何をするにも良いおめでたい月のころ、空気は美しく澄み、風もやわらかく和んでいる。」というような意味になります。
このような訳を読んでしまうと、政府発表の「令和=beautiful harmony」という訳に若干違和感を覚えますが、実はこの「梅花歌三十二首」のが読まれた背景まで掘り下げると、なんとなく納得できるようになってきます。
梅花歌三十二首が詠まれた宴は、歌人の一人である大伴旅人を慰めるために開かれたものだったのです。
旅人は赴任先である太宰府に来た直後、妻を亡くしています。
そんな旅人に気遣い、まだ梅が咲きそろっていない2月上旬に、あえて梅の花の歌を詠む宴を開く。
そんな背景があるのです。
まとめ
- 「令」は「良い・立派な・優れた」という意味。
- 「令和」は「相手を気遣い、思いやり、和を大切にする」こと。
いろいろな意見はありますが、肯定的な意見はもちろんのこと、否定的な意見も「新しい元号のものとで良い時代を迎えたい」という強い思いのあらわれと言えます。
後世の人たちに「令和は良い時代だった」と言われるようになるといいですね。