「小説」と「物語」。
どちらも本などになっている読み物、という点では同じだと思うのですが、何か違いがあるのでしょうか?
そこで今回は、この2つの正しい意味と使い方を調べてみました。
小説の定義
小説とは、「作者が自由な方法とスタイルで、人間や社会を描く様式。」だそうです。
ようするに、作者が好き勝手書くのが小説、ということでしょうか。
ちなみに、日本において「小説」という言葉が登場したのは明治に入ってからです。
明治18年に坪内逍遥が『小説神髄』という文芸評論で“novel”の訳語に「小説」を使ったのが始まりです。
物語の定義
物語とは「話し語ること。さまざまの事柄について話すこと。特定の事柄の一部始終を語ること、あるいは古くから語り伝えられた話をすること。」だそうです。
小説よりも主観が入りにくい感じですね。
なお、平安時代の作品中で使われる「ものがたる」という言葉には、現在より幅広い意味があったようです。
女房たちのおしゃべりや、赤ちゃんの意味をなさない声ですら「ものがたり」と表現されていたようです。
声を発すること自体が「ものがたり」だったのかもしれませんね。
小説・物語の違いは?
以前は、小説と物語の間には明確な区分があるとされてきたそうです。
すなわち、「話の展開に内容から導かれる必然性があるもの」が小説で、「内容とは関わりなく偶然のつながりによって話を進めてゆく」のが物語ということだったようです。
それがさらに発展して、「話の展開と主人公の具体的な性格に必然的な関わりがあるのが小説。そうでないのが物語。」とも言われるようになった時期もあるようです。
小説は作者の創作だから話の筋が必然的でなければならず、物語は偶然的要素に支配されていても話として成立する、という考えなのでしょうかね。
シェイクスピアの作品は小説で、グリム兄弟が集めた編集した童話は物語、そんなニュアンスかもしれません。
しかし時代の流れとともに、これらの定義に反する小説が登場するようになったようで、何をもって小説とするかは一概に決めることはできなくなっているようです。
文学は時代により変化する生き物みたいなものですからね。これからも定義は変わっていくかもしれません。
まとめ
- 小説は作者のオリジナル作品
- 物語は語り継がれる話
そんな感じでしょうか?
それを踏まえますと、「源氏物語」は作者である紫式部の創作であることから「小説」とも言えますし、1000年を超えて語り継がれる「物語」とも言えると思います。
まさに日本が誇る長編小説(物語)ですね。